PCR検査Ct40の「陽性」は、感染の証明ではない——確定診断なき統計が、感染者数・コロナ死者数を数えている

目次
  1. 要旨
  2. 記録された事実(一次資料が示すこと)
  3. 私の考え(葛西 護)
  4. 読者へ
  5. この記事のつくり方——採用した資料、外した資料、とった立場
  6. 資料一覧(すべて一次資料。リンクで原本をたどれます/ハッシュで固定)

要旨

発表されてきた「コロナ陽性者数」「コロナ死者数」は、確定診断を積み上げた数字ではありません。

PCR検査は、Ct値(増幅を繰り返す回数)を大きくするほど、ごく微量の遺伝子の断片でも「陽性」と判定します。ある報告では、Ct34以上では生きたウイルスの分離(感染性の証拠)が得られませんでした。つまり、Ct40のような高い設定での「陽性」は、その人が感染していること・感染性を持つことを意味しません。

「コロナ死者数」には、さらに別の要因が重なります。2020年6月以降、陽性者の死亡は死因を厳密に問わず「コロナ死」として計上されました。したがって、Ct40で陽性になった人が、実際には別の原因で亡くなっていても「コロナ死」として数えられます。

本稿は、この統計の土台が確定診断に基づいていないことを、一次資料の数字で示すものです。統計が信用できるかどうかの判断は、読者に委ねます。

目次
  1. 要旨
  2. 記録された事実(一次資料が示すこと)
  3. 私の考え(葛西 護)
  4. 読者へ
  5. この記事のつくり方——採用した資料、外した資料、とった立場
  6. 資料一覧(すべて一次資料。リンクで原本をたどれます/ハッシュで固定)

記録された事実(一次資料が示すこと)

(1)高いCt値の「陽性」は、感染の証明ではない PCRは、増幅を繰り返す回数(Ct)を重ねるほど、ごく微量の遺伝子断片でも「陽性」と判定する。国立感染症研究所の病原体検出マニュアル自身が、「Ct値(またはCp値)が高い場合には、非特異的な増幅の可能性が考えられる」と記している〔NIID 病原体検出マニュアル Ver.2.9.1, hash 90d255a3〕。また、高いCt値の検体では培養で生きたウイルスが得られにくく、CDCは高Ct=ウイルスRNAが微量とし、40サイクルで検出できないものは陰性として扱っている〔CDC MMWR mm7136a3, hash 463b5913〕。厚労省の「病原体検査の指針」も、発症から日数が経ち感染性の無い例でも陽性となることがあると述べる〔厚労省 病原体検査の指針, hash 0ca52e70〕。つまり、Ct40のような高い設定での「陽性」は、感染や感染性を意味しない。

(2)「陽性者数」は、その陽性判定の積み上げである 公表される「陽性者数」は、上記のCt設定による陽性判定を集計した数字である。陽性が感染を意味しない以上、この数をそのまま「感染者数」として読むことはできない。

(3)「コロナ死者数」は、死因を問わずに計上されている 2020年6月18日、厚生労働省は事務連絡で、「新型コロナウイルス感染症の陽性者であって、入院中や療養中に亡くなった方については、厳密な死因を問わず、『死亡者数』として全数を公表する」よう都道府県に求めた〔厚労省 事務連絡 令和2年6月18日, 000641629.pdf〕。このため、Ct40で陽性になった人が別の原因で亡くなっても「コロナ死」として数えられる。実際、死亡診断書のⅠ欄のみ/ⅠまたはⅡ欄/人口動態統計(原死因)の3系列は値が異なり、同じ「コロナ死」でも数え方で差が出る(例:令和5年5月、Ⅰ欄610・Ⅰ+Ⅱ欄1,367)〔src fc550f40〕。

厚生労働省 事務連絡 令和2年6月18日(別紙)
出典:厚生労働省 事務連絡(令和2年6月18日)「新型コロナウイルス感染症患者の急変及び死亡時の連絡について」別紙。「厳密な死因を問わず、『死亡者数』として全数を公表する」と明記されている。〔000641629.pdf〕

(4)同じPCRでも、用途によってCtの扱いが違う(Ct28とCt40) 日本の検査は、反応そのものは45サイクル回すが、「増幅曲線の立ち上がりが40サイクル以内にみられた場合に陽性とみなす」——これは国立感染症研究所の病原体検出マニュアルに明記された手順である〔NIID 病原体検出マニュアル Ver.2.9.1, hash 90d255a3〕。厚労省の資料も、陽性判定にメーカー指定値(Ct40 など)を用いると記す〔厚労省 000770009 / 000769978〕。

国立感染症研究所 病原体検出マニュアル Ver.2.9.1 p.12
出典:国立感染症研究所「病原体検出マニュアル 2019-nCoV Ver.2.9.1」(令和2年3月19日)p.12。〔hash 90d255a3〕

一方、米CDCは、ウイルスのゲノム解読(変異株の配列決定)に送る検体を「Ct≤28」に限った。理由は、Ct28を超えるとRNAが少なすぎて配列決定が信頼できないため、という技術的なものである〔CDC MMWR, 2021年5月〕。これは検体選別の基準であって、症例のカウントやブレイクスルーの定義を変えたものではない(この点は本稿の論点ではない)。 つまり、同じ公衆衛生の体制が、Ct28超の検体を「解読には信頼できない」と扱う一方で、Ct40までの陽性を「感染者」「コロナ死」として数えている

なお、WHO自身も2020/05通知(2020年12月/2021年1月)で、高いCt値の解釈には慎重さが必要であること、低有病率では偽陽性の割合が増えることを注意喚起している〔WHO Information Notice 2020/05〕。

(5)まとめ=二重の曖昧さ 「陽性=感染の確定ではない」(Ct40)ことと、「死因を問わず計上」されることが重なる。発表される「コロナ陽性者数」「コロナ死者数」は、この二重の曖昧さの上に成り立っている。

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  3. 私の考え(葛西 護)
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  5. この記事のつくり方——採用した資料、外した資料、とった立場
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私の考え(葛西 護)

私は、コロナ期間中の厚労省発表の統計をそのまま信じることができません。

感染しているかどうかを確定できない検査の「陽性」を「感染者」と数え、その人が何で亡くなったかを問わずに「コロナ死」と数える。土台がこれでは、発表された「コロナ陽性者数」「コロナ死者数」が、実際のコロナの姿をどれだけ映しているのか、私にはわかりません。少なくとも、確定診断の積み上げではないことは、資料が示しています。

これが単なる運用上の粗さなのか、それとも別の意図があるのか——その問いは、この記事の範囲を超えます。ここでは、統計の土台が確定診断に基づいていないという事実だけを、証拠として置きます。

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読者へ

ここにあるのは、公的な一次資料が示す事実です。私は「統計は間違いだ」と結論づけていません。示したのは一点だけ——その統計が、確定診断に基づいていないということです。

そして、問いを一つ。ウイルスの配列を読むには「Ct28以下でなければ信頼できない」とされる検体が、なぜ「感染者」や「コロナ死」としては、Ct40まで数えられるのでしょうか。同じ検査の値を、用途によって別の基準で扱う——この差を、あなたはどう受け止めますか。

この土台の上に積み上げられた数字を、どこまで信用するか。判断は、あなたに委ねます。

目次
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  2. 記録された事実(一次資料が示すこと)
  3. 私の考え(葛西 護)
  4. 読者へ
  5. この記事のつくり方——採用した資料、外した資料、とった立場
  6. 資料一覧(すべて一次資料。リンクで原本をたどれます/ハッシュで固定)

この記事のつくり方——採用した資料、外した資料、とった立場

この記事は、次の手順で作りました。①一次資料をダウンロードしてハッシュで固定し(改ざんできない状態にし)、②複数のAI(Claude・Gemini・GPT、加えてローカルの日本語モデル)に「同じ固定証拠」を分析させ、③結論を出さずに材料を並べる——という方法です。筆者(葛西)は考えを述べていますが、事実の評価・判断は最小限にとどめ、読者に委ねています。

経緯を開示するのは、この作りでは特定のAIや筆者の意図で結論を捻じ曲げることが難しく、むしろ「どの資料を採り、どれを外したか」を全部見せることこそが記事の信用になるからです。

採用した一次資料(公的機関のもののみ)。 Ct値・陽性判定=国立感染症研究所 病原体検出マニュアル、厚生労働省 病原体検査の指針/Ct値活用/PCR精度管理、CDC MMWR、WHO Information Notice。死者計上=厚生労働省 令和2年6月18日 事務連絡ほか。原本は末尾の「資料一覧」からリンクでたどれます。

外した資料と、その理由(黙って消さない)。

  • 個人ブログ・意見サイト・動画・いわゆる陰謀系:一次資料ではないため、事実の根拠には採らなかった(システムの利益相反・方法論スクリーニングで選別)。
  • 「Ct40では陽性の約90%が偽陽性(ニューヨーク・タイムズ)」という主張:元記事の趣旨を誇張した係争中の言説のため、事実としては載せなかった。
  • 「WHO・CDC・厚生労働省が協調してCt値を操作した」という時系列:CDCの『Ct≤28』は配列決定(変異株解読)用の検体選別であって症例カウントの変更ではなく、この筋書きは複数のファクトチェックで否定されているため、事実としては採らなかった。

AIの棄権と意見割れ(隠さず開示)。 分析は複数のAIに同じ固定証拠を渡して行いました。青森県に限定した問いでは、Claude と Gemini は「証拠中に青森県固有のデータが無い」として棄権し、GPT は空回答でした。だから本稿は青森を外し、全国+一次資料に絞りました。また、死者計上の性格づけでは意見が割れました——Gemini は「厳密な死因を問わず全数計上」、GPT は「死亡診断書を精査し、明確に非COVIDと分かるものは除外する運用」と読みました。この割れは、原本(令和2年6月18日 事務連絡)が「厳密な死因を問わず、『死亡者数』として全数を公表する」と明記していること(本文の画像)で確認しています。ローカルの日本語モデルは問いと無関係な回答を返したため、採用しませんでした。AIが割れたときは、一次資料に立ち返って確かめる——それが本稿の作法です。

とった立場(判断を控えた点)。

  • 本稿は「Ct40の陽性はすべて偽陽性だ」とは述べません。示すのは「陽性=感染の確定ではない」という土台の性質までで、偽陽性の割合は断定しません。
  • 「なぜ死因を問わず計上させたのか」という動機・意図の断定も、本稿ではしません。これは姉妹サイト disclosure.kasaimamoru.com(青森ノート)で、青森県の開示文書を根拠に扱う予定です。
  • 統計を「信用すべきか否か」の総合判断も、読者に委ねます。本稿が示すのは「土台が確定診断ではない」という一点にとどめます。
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  1. 要旨
  2. 記録された事実(一次資料が示すこと)
  3. 私の考え(葛西 護)
  4. 読者へ
  5. この記事のつくり方——採用した資料、外した資料、とった立場
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資料一覧(すべて一次資料。リンクで原本をたどれます/ハッシュで固定)

  • 国立感染症研究所「病原体検出マニュアル 2019-nCoV Ver.2.9.1」(40サイクル以内で陽性/高Ctは非特異的増幅の可能性)— 原本PDF 〔hash 90d255a3〕
  • 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針」(感染性の無い例でも陽性となりうる)— 原本PDF 〔hash 0ca52e70〕
  • 厚生労働省「遺伝子検査における Ct 値活用の方向性について」— 原本PDF 〔hash 3e8c28b3〕
  • 厚生労働省「PCR検査等にかかる精度管理/陽性判定のメーカー指定値(Ct40 など)」— PDF①PDF② 〔hash 7154bcd6 / 2f0e73c3〕
  • CDC MMWR「Detection of Higher Cycle Threshold Values in Culturable SARS-CoV-2」(高Ct=ウイルスRNA微量)— 記事 〔hash 463b5913〕
  • CDC MMWR「COVID-19 Vaccine Breakthrough Infections」(配列決定に送る検体をCt≤28に限定=技術的理由。カウント変更ではない)— PDF 〔hash ac4f5bf8〕
  • WHO「Information Notice for IVD Users 2020/05」(高Ct・低有病率での偽陽性への注意喚起)— WHO 〔hash c6b7a7a2〕
  • 厚生労働省 事務連絡(令和2年6月18日)「新型コロナウイルス感染症患者の急変及び死亡時の連絡について」(陽性者の死亡は厳密な死因を問わず全数を「死亡者数」として公表するよう要請)— 原本PDF 〔hash 3bd7da9b〕
  • 厚生労働省 コロナ死の計上(死亡診断書Ⅰ/Ⅱ欄・人口動態統計との比較)— PDF 〔src fc550f40〕

本稿は「PCRの土台」に絞った証拠提示です。超過死亡・ワクチン健康被害救済・厚生労働省通知の意図(なぜ報告させたか)は、姉妹サイト disclosure.kasaimamoru.com(青森ノート)で、青森県の開示文書を根拠に扱う予定です。

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  1. 要旨
  2. 記録された事実(一次資料が示すこと)
  3. 私の考え(葛西 護)
  4. 読者へ
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  6. 資料一覧(すべて一次資料。リンクで原本をたどれます/ハッシュで固定)